・映画の要約
『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』(原題:The Maze Runner: The Scorch Trials)は、2015年に公開されたアメリカのSFアクションスリラー映画で、2014年の『メイズ・ランナー』の続編。監督は前作に引き続きウェス・ボールが務める。巨大な迷路からの脱出に成功したトーマスたちが、新たな過酷な環境「スコーチ(焼けた砂漠)」に放り出され、さらなる真実と陰謀に直面する。舞台は崩壊した地球、感染症と灼熱の荒野。WCKD(ウィケッド)という組織の実験から逃れた若者たちは、自由を求めて人類の残存勢力「ライト・アーム」を探す旅に出る。
・映画の時間
上映時間は 132分。
・ネタバレ(起承転結)
起:新しい施設

迷路を脱出したトーマスたちは、救助隊によって保護施設へと運ばれる。そこでは他の迷路から生き残った者たちも集められており、食事や寝床が与えられる。しかしトーマスは、この施設が本当に安全なのか疑問を抱く。夜中、彼はテレサの姿を探すが、彼女は別の場所に隔離されていた。さらに施設の背後にはWCKDのマークがあり、実験が続いていることを知る。
承:砂漠の逃走

トーマスたちは仲間のミンホ、ニュート、フライパンらと共に脱出を決意。施設を抜け出すと、そこは一面の砂漠「スコーチ」と化した世界だった。かつての都市は焼け落ち、感染者“クランク”が徘徊している。彼らは感染を恐れながら廃墟を進み、生存者グループに遭遇する。その中には反WCKD組織「ライト・アーム」に関係する女性ブレンダとホルヘがいた。
転:信頼と裏切り
旅を共にするうちに、トーマスはブレンダと心を通わせるが、テレサはWCKDに再び接触し、組織側へ戻る選択をする。WCKDのリーダー、エヴァ・ペイジは「彼らの血液こそ人類を救う鍵」と語り、実験の正当性を主張。トーマスたちは再び捕らえられそうになるが、ホルヘらの助けで辛くも脱出する。砂漠を越える過程で仲間を失い、信頼が揺らぐ中、それでも希望を捨てずにライト・アームを目指す。
結:決意と反撃
ついにトーマスたちはライト・アームの基地にたどり着くが、そこにもWCKDの影が迫っていた。ミンホが捕らえられ、テレサは完全に敵側に立つ。トーマスは仲間たちと共に、次の戦いの準備を誓う。ラストでは、彼が「ミンホを取り戻す」と宣言し、組織への反逆を決意する場面で幕を閉じる。この結末は次作『メイズ・ランナー3:最後の迷宮』へと直結する。
・この映画と似ている映画
- マッドマックス 怒りのデス・ロード:荒廃した砂漠を舞台に、生存と自由を求める戦いを描く。
- アイ・アム・レジェンド:感染と人類の終末をテーマにしたポストアポカリプス。
- ダイバージェントNEO:組織の支配と若者たちの抵抗を描くSF続編。
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・総評
『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』は、シリーズの中でも最も「世界の広がり」と「危険のリアリティ」を感じさせる一作である。前作では閉ざされた迷路の中での緊迫感が中心だったが、今作では外の世界が舞台となり、より壮大で荒涼としたサバイバルが描かれている。舞台が開けたことで、映像面のスケール感とアクションの幅は大きく広がった。
監督ウェス・ボールの演出は、砂漠の熱気や崩壊した都市の静けさを巧みに表現している。特に夜の廃墟でクランクたちが襲いかかるシーンは、ゾンビ映画さながらの緊張感とスリルがある。CGの質感も高く、荒廃した未来世界のディテールに説得力がある。
物語の中心にあるのは、仲間との絆と信頼の試練だ。トーマスはただの生存者ではなく、仲間を守るために行動するリーダーへと成長していく。ブレンダやホルヘなど新キャラクターの登場により、人間関係にも厚みが増している。一方で、テレサの裏切りやWCKDの思想など、シリーズ全体のテーマである「倫理と犠牲」がより明確になった。
ただし、物語は中継的な位置づけであるため、独立した作品としての完成度はやや弱い。終盤に向けて次作への布石が多く、伏線が回収されずに終わる場面も多い。それでも、テンポの良い展開とキャラクターのドラマがバランスを保ち、観客の興味を持続させることに成功している。
総じて、『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』は、シリーズの中で最もダークでスリリングな章と言える。迷路から逃れた彼らが見た外の世界は、自由ではなく新たな地獄だったという皮肉な展開が、強い印象を残す。次作へ向けた希望と覚悟の物語として、シリーズの中盤にふさわしい緊張感を保っている。
・スタッフキャスト
監督:ウェス・ボール
脚本:T・S・ノーリン
原作:ジェイムズ・ダシュナー「メイズ・ランナー」シリーズ
製作:エレン・ゴールドスミス=ヴァイン、ウィク・ゴッドフリー
撮影:ギャリー・ショウ
音楽:ジョン・パエザーノ
出演
トーマス:ディラン・オブライエン
テレサ:カヤ・スコデラリオ
ニュート:トーマス・ブロディ=サングスター
ミンホ:キー・ホン・リー
ブレンダ:ローサ・サラザール
ホルヘ:ジャンカルロ・エスポジート
エヴァ・ペイジ:パトリシア・クラークソン
フライパン:デクスター・ダーデン
他:アラン・テュディック、ナサニエル・ジュール ほか


