映画「ショウタイムセブン」の要約・ネタバレ・この映画と似ている映画・この映画を見れるサイト 🎙️💥

レビュー
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・映画の要約

2025年2月7日に公開された『ショウタイムセブン』は、日本のテレビ業界を舞台にしたリアルタイム型のサスペンス・エンターテインメント。物語の中心にいるのは、かつて“ニュースの神”と呼ばれた元人気キャスター・折本眞之輔(演:阿部寛)。視聴率低迷に苦しむラジオ番組での生放送中、謎の電話が一本入る。それは、世間を揺るがす爆破事件の予告であり、折本への直接の挑戦でもあった。

犯人を名乗る男は「ウスバ カゲロウ」と名乗り、折本を通じてある“事故”の真実を世に知らしめようとする。折本は、復帰を賭けてその交渉劇をテレビ中継に変えるよう提案。スタジオは突如、爆発の脅威と情報操作の最前線に変貌する。

日本社会、報道、倫理、復讐、そして「声を奪われた者」の叫びが交差しながら進行するストーリーは、98分という短めの尺ながら息をつかせぬ緊張感に満ちている。

・映画の時間

上映時間は 98分。リアルタイム進行の臨場感を活かした構成が、短さを感じさせない濃密さを生んでいる。


・ネタバレ(起承転結)

起:鳴り響く電話と爆発

テレビ界の最前線から退き、ラジオ番組にしがみつくように出演していた折本眞之輔のもとに、突如として「ウスバカゲロウ」なる人物から電話が入る。その瞬間、城東火力発電所が爆破される。犯人は、メディアを通じてある“真実”を暴露するよう折本に強要し始める。

承:テレビ局を巻き込むショウ

折本は、ラジオ局をテレビスタジオに変貌させる提案を行い、キャリア復活を狙って“爆弾魔との交渉ショー”を開始する。局内のスタッフ、かつての仲間、若手アナウンサー、そしてスポンサーや視聴者たちも巻き込まれ、事件は社会全体の“注視”を受ける形へと変化する。

転:迫る真実と仕掛けられた罠

犯人の要求は、かつてテレビ局が握り潰した労災事故にまつわる真実の告発であると判明。さらに、放送中のスタジオに爆弾が仕掛けられていることが明かされる。折本は自らの命と引き換えに、報道の矜持を貫く決意を固めていく。

結:報道の重みと衝撃の結末

爆発の脅威と視聴者の熱狂の中、折本は真実を語るが、それは番組の“構成”の一部に過ぎなかった。ラスト6分、爆弾の行方と“すべてを見ていた誰か”の正体が明らかになる。観客は衝撃の展開とともに、報道とは何か、声なき人々の訴えにどう向き合うべきかという問いを突きつけられる。


・この映画と似ている映画

  1. 『テロ,ライブ』(2013・韓国):報道番組内でのテロ交渉劇を描いた原作。
  2. 『マネーモンスター』(2016):TV生放送中に起きたハイジャック事件と株操作の真相。
  3. 『ザ・コール 緊急通報指令室』(2020):通話越しに起こる緊急事態を描くサスペンス。

・この映画を見れるサービス

※配信状況は変更になる可能性があります。


・総評

『ショウタイムセブン』は、報道、倫理、そして声なき者の“叫び”を緻密に描いた異色のサスペンスである。阿部寛演じる折本眞之輔は、かつての栄光と今のプライドの狭間で揺れ動きながらも、観る者に「メディアの責任」と「伝えるということ」の意味を突きつける。

この映画が真に優れている点は、“リアルタイム進行”という制約を、最大限の緊張感と人間ドラマに変えているところだ。カットを割らずに展開されるカメラワークや、切迫した音楽演出、そして一つ一つの台詞が持つ情報量の多さ。これらが有機的に絡み合い、観客はまるで自分がその場で事件を目撃しているような没入感を味わう。

折本が犯人と対峙する場面は、単なるサスペンスではなく、報道に携わる人間の“信念”と“保身”の葛藤を体現している。口調ひとつ、まばたきひとつに至るまで、阿部寛の演技は極限状況に置かれた男のリアルを表現していた。元同僚、若手アナ、そして視聴者までもが事件の構成要素として巻き込まれていく様は、まさに現代のメディア構造そのものを投影している。

一方で、ストーリー運びにやや強引な展開があることも否めない。特に後半の“爆弾の真相”の描き方については、もう少し余韻や裏付けがあってもよかったと感じる。ただし、それが全体の熱量を削ぐものではないのは事実だ。この映画が意図しているのは“真実の重み”を視聴者に叩きつけることであり、脚本の整合性よりも、その感情の揺さぶりが重要だったのだと思う。

また、音楽の照井順政による劇伴も秀逸で、空白の静寂が突然の爆音に変わる瞬間や、犯人の声が響く場面の不気味な演出は、まるでサウンドホラーのように観る者の神経を逆撫でしてくる。緊張を増幅する一方で、ラストシーンの静かな余韻は、むしろ音楽が“消える”ことで印象づけられている。

そして、観終わった後に残る問いがとても強い。

──「伝えるとは何か?」
──「この世界に、黙殺されている声はいくつあるのか?」

それらを真正面から受け止めたとき、この作品がただのエンタメスリラーではなく、報道という“人と人を繋ぐ行為”の真髄を描いた社会派映画であることに気づかされる。

『ショウタイムセブン』は、静かに、しかし確実に、観る者の胸に“爆弾”を残す作品である。


・スタッフキャスト

  • 監督・脚本:渡辺一貴
  • 原作:『テロ,ライブ』(韓国映画)
  • 撮影:大和谷豪
  • 音楽:照井順政
  • 編集:鈴木翔

出演

  • 折本眞之輔:阿部寛
  • 安積征哉:竜星涼
  • 結城千晴:生見愛瑠
  • 伊東さくら:井川遥
  • 東海林剛史:吉田鋼太郎
  • 犯人(繁藤寛二):錦戸亮
  • ほか:平原テツ、内山昂輝、安藤玉恵、平田満 ほか
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