・映画の要約
2009年に公開された『G.I.ジョー/ザ・ライズ・オブ・コブラ』は、世界を守るエリート特殊部隊「G.I.ジョー」が、ナノテク兵器を用いた巨大な国際陰謀に挑むアクションスペクタクルです。デューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)は、春の改変「コブラ」計画を阻止するため、スネークアイズやスカーレットを含むチームと協力しながら、最大の敵クイックシルバーやバロン・デコブレイと対峙します。スタントとCGIを融合させた大規模セットと、80年代のトイフランチャイズへのオマージュ精神が共存する一作です。
・映画の時間
本作の上映時間は 118分。2時間弱の中に飽きさせないアクションとドラマを織り込んだ構成です。movieinsider.com+15en.wikipedia.org+15the-numbers.com+15
・ネタバレ(起承転結)
起:襲撃と結成の序章
軍事企業M.A.R.S.が開発したナノ兵器は、世界秩序を脅かす脅威となる。デュークとリップコードはコブラの襲撃を受け、G.I.ジョー隊員としてスカーレットらの救出に動く。これをきっかけに、彼らは正式にG.I.ジョーチームとして結成される。
承:追跡と対峙
チームは敵の手がかりを追い、エジプトの「ピット」拠点を訪れ、バロン・デコブレイやスネークアイズと接触する。狙いはM.A.R.S.社のCEOジェームズ・マクカレン。彼はナノ兵器を用いて世界を混乱に陥れようと企てていた。
転:決戦と犠牲
コブラの計画がパリのエッフェル塔爆破事件へと進展。デュークとチームは極秘戦闘へ突入し、極寒の北極基地内で最終攻防戦を繰り広げる。スネークアイズとストームシャドウの決闘や、デュークの勇気ある行動がクライマックスを彩る。
結:勝利と余韻

戦いの果てにG.I.ジョーは陰謀を阻止する。リーダーのホーク将軍の指示で基地を爆破し、バーンストームやコブラの関係者を拘束する。最後のシーンでは、Zartanがアメリカ大統領に成り代わり暗躍する伏線が残り、シリーズ後続作への期待を煽る余韻を残します。
・この映画と似ている映画
- 『トランスフォーマー』(2007):おもちゃを原作にしつつ、迫力あるCGと巨大な戦闘を描き出す夏のスペクタクル。
- 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』:特殊部隊とハイテク装備が交錯する国際的スパイアクション。
- 『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』:スーツやガジェットを駆使するスタイリッシュなスパイ団体と高揚感のある戦闘。
・この映画を見れるサービス
※配信状況は変更になる可能性があります。
・総評
『G.I.ジョー/ザ・ライズ・オブ・コブラ』は、単なるおもちゃ原作映画を超え、「カートゥーン的過剰」と「リアル世界の技術崩壊」を融合させた大胆な試みです。演出面では、エッフェル塔爆破や北極基地の潜入など、ロケ地の多彩さとCGの融合が圧巻であり、視覚的なスリルは強烈です。ナノボット兵器というSF要素がある一方で、登場人物たちの絆も丁寧に描かれており、デュークとリップコードの友情、ホークとの信頼関係、そしてスネークアイズとストームシャドウの悲劇的な邂逅が物語に深みを与えます。
ただし、脚本には浅さが散見されます。悪役の背景や動機が薄く、キャラクターの描き込みは限定的です。特にバロン・デコブレイやドクターに関しては、動機の説得力が弱く感じられる瞬間があるため、エンタメ性に欠けると感じる視聴者もいるでしょう。
それでも本作が成立しているのは、圧倒的な「世界を守るヒーロー映画」である点です。爆弾を解除し、敵勢力を打破し、そして観客に「Yo, Joe!」という決め台詞で応える爽快感。特にデュークの覚醒と仲間との連帯が、物語に力強いパンチを与えます。
シリーズへの布石として最後に提示される伏線も、本作を終わりではなく「始まり」として位置づける重要な要素です。構成は無難でありつつ硬派な仕上がり。特撮とCG、チームワークと信頼、そして直接的な破壊描写が好きな人には、大きな満足感を提供できる作品です。
・スタッフキャスト
- 監督/脚本:スティーヴン・ソマーズ
- 原案:マイケル・B・ゴードン、スチュアート・ビーティ、ポール・ラヴェット
- 製作:ロレンゾ・ディ・ボナヴェンチュラ、ブライアン・ゴールドナー、ボブ・デューサイズ
- 撮影:ミッチェル・アマンドセン
- 編集:ボブ・デューサイズ、ジム・メイ
- 音楽:アラン・シルヴェストリ
出演
- デューク(コンラッド・ハウザー):チャニング・テイタム
- リップコード(ウォレス・ウィームズ):マーロン・ウェイアンズ
- スカーレット(シャナ・オハラ):レイチェル・ニコルズ
- スネークアイズ:レイ・パーク(吹き替えなし)
- ストームシャドウ(トーマス・アラシカゲ):イ・ビョンホン
- バロン・デコブレイ:グレゴリー・フィトゥーシ/ザ・バロネス:シエナ・ミラー
- ザ・ドクター(レックス・ルイス):ジョセフ・ゴードン=レヴィット
- ホーク将軍:デニス・クエイド