映画「シグナル」の要約・ネタバレ・この映画と似ている映画・この映画を見れるサイト

レビュー
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🎬 映画の要約

『シグナル』(原題:The Signal)は、2014年制作のアメリカSFスリラー映画。ウィリアム・ユーバンク監督による本作は、ロードムービーの皮を被った「知覚と現実の境界線」を問う哲学的スリラーだ。理工系の大学生ニック、恋人のヘイリー、親友ジョナの3人は、謎のハッカー「ノマド」の発信源を突き止めるべくネバダの廃墟へ向かう。しかし、そこで彼らを待ち受けていたのは人智を超えた現象と、正体不明の“政府”による監禁だった。物語は、現実を見失っていく主人公の視点とともに、不穏さと謎を深めていく。ジャンル的にはSF×心理スリラー×青春ドラマが融合した一作。


⏱ 映画の時間

97分


🧩 ネタバレ

ニック、ヘイリー、ジョナの3人はアメリカ横断の旅をしていた。大学のネットワークに侵入したハッカー「ノマド」からの挑発に乗り、発信源と思しきネバダの廃墟へ向かう。

廃墟で奇妙な現象が発生し、突然の閃光のあと、ニックは政府のような施設で目を覚ます。足が動かず、ヘイリーやジョナの行方も分からない。白い防護服に身を包んだ男デイモンの尋問を受けながら、記憶の断片と異変に満ちた現実が交差していく。

自らの義足に異常な力があると気づいたニックは、施設からの脱出を試みる。途中でジョナと再会し、彼もまた「改造」されていたことが判明。徐々に“この施設は普通ではない”という確信が強まる。

壮絶な逃走劇の末、ニックは施設の出口へとたどり着く。そこで目にしたのは、地球とは思えない風景──施設は宇宙船であり、彼らはすでに地球を離れていた。彼の叫びが、静寂の宇宙に響く。


🎞 この映画と似ている映画

  • 『ミッション:8ミニッツ』
     死の直前8分間を繰り返す男の任務と現実のねじれを描いたSFサスペンス
  • 『10 クローバーフィールド・レーン』
     地下シェルターに閉じ込められた女性と、外の世界の真実を巡る心理戦
  • 『アナザー・アース』
     もう一つの地球の存在と、自分自身の可能性を見つめ直す静かなドラマ

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総評

『シグナル』は、一見してよくあるB級SFかと思わせながら、観る者の足元を静かに、しかし確実にすくってくる作品だ。序盤は軽やかなロードトリップものとして始まり、若者3人の対話や感情に共感を抱かせる。しかし、廃墟での「事件」を境に、観客は彼らと一緒に迷路に迷い込む。

何が現実で、何が操作されているのか。情報は断片的で、誰が味方かもわからない。ニックの失われた足、ヘイリーの昏睡、ジョナの変貌。次第に積み重なる“異常”は、じわじわと観る者の思考を侵食していく。ラストの展開は賛否が分かれるだろうが、「現実とは何か」「自分とは誰か」という問いを残して終わる潔さが、本作をただのスリラーに留めない所以だ。

ローレンス・フィッシュバーンが演じるデイモンの存在感も絶妙で、支配者とも、実験者とも、狂気の象徴とも受け取れる含みを持たせている。観る人によって印象が変わるという点では、まさに“知覚の映画”である。

映像的にも、廃墟と施設の無機質な美しさ、そしてクライマックスで描かれる非現実的な風景とのコントラストが見事だ。演出面では多くを語らず、観客の想像力に委ねるスタイルが貫かれており、非常に余韻の残る構成となっている。

ポップコーン片手に観るエンタメというより、観た後に考えたくなる一本。SFというより、「存在するとはどういうことか」をテーマにした実験的ドラマとして評価したい。


🎥 スタッフキャスト

  • 監督:ウィリアム・ユーバンク
  • 脚本:ウィリアム・ユーバンク、カーライル・ユーバンク、デヴィッド・フリガリオ Jr.
  • 音楽:ニマ・ファクララ
  • 撮影:デヴィッド・ランサム

出演:

  • ブレントン・スウェイツ(ニック)
  • オリヴィア・クック(ヘイリー)
  • ボー・ナップ(ジョナ)
  • ローレンス・フィッシュバーン(デイモン)
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